ねこひげアンテナ

自己分析&文体模索中!自分らしさって何だー!?

言葉とリズムが渾然一体!シリーズ・つんく歌詞の魅力(3)

え?つんく歌詞の魅力って、なんといっても「言葉選びの妙」でしょ?! 

と思っている諸先輩方、圧倒的にそのとおりでございます。

シリーズ最終回の今夜は、つんく歌詞に見られる「なんじゃそりゃ!」な言葉選びの妙をご一緒に味わいましょう!


シリーズ最終回!時間かかった!

(3)言葉選びの妙


まず、わたしがiPodをまさぐり返し、またネット上の諸先輩方のコメントを拝読しつつ(参考URL→ http://helloprocanvas.ldblog.jp/archives/38956914.html) 、ピンときた限りの「なんじゃこりゃ!」な歌詞を挙げてみたいとおもいます。


まずはこれ。私が初見で聞き間違いかな?と思って歌詞確認したら合ってて、ひっくり返りそうになった曲。


色っぽいキューピット じれったいキスもっと
色っぽいビスケット じれったいミスショット
(モーニング娘。 色っぽい じれったい)
い、色っぽいビスケット…?

先ほどの参考ページの48コメあたりで紹介されている通り、既に高尚な見解が出され一応の決着が着いているようですね。
でも私はあまり「ビスケット=ビスクドール(陶器の人形)説」は腑に落ちなかったので、やはり韻を踏むためだけの歌詞なのかなと想像してます。

それにしても、色っぽいビスケットて。
ビスケットて。
たまにいくカオスなコンビニに、おっぱいを模した焼メレンゲ菓子が売られてるけど、そういうやつかなぁ?

同じくモーニング娘。様から。最新シングルにももれなくあります、言葉選びの妙。


不器用すぎる自分が
嫌になる好きじゃない
笑顔で乗り切れない
不器用paradise
(モーニング娘。'15 スカッとMy Heart)
不器用paradise!!行きたくない!
そこに住む人々はみな一様に、軍手を10枚はめたみたいな不器用さに違いない。
針に糸通すのに2年くらいかかるに違いない。

そしてパラダイスといえば忘れてはいけない、こちら。


歌え 恋するロデオ男子
乱れ じゃじゃ馬娘
One two チョップ アリアリdangerous
太郎と花子
(美勇伝 じゃじゃ馬パラダイス)
頭湧いてんのかな(※最大級の褒め言葉)、と思いましたよね、最初聞いた時。
男と女、まではまあいいけど、そのうち太郎と花子になり、挙句の果てにはアダムとイブ子になってしまうこの歌詞。
全編通して明るい色情狂の歌となっています。梨華ちゃん最強。

そういえば、もうあとひと月もすればこの季節ですね。

ドキ胸きゅんぼっきゅん突然現る先輩
話す言葉だけ浮かばないの
エーンエーン メリピンクリスマス
エーンエーン メリピンクリスマス
メリピンクリスマスフォーユー
(モーニング娘。わ〜MERRY ピンXmas) 
うん、これもまたすごい怪電波を発してますね。
いったいどんな人生を送ったら、クリスマスソングにこの詞をつけられるようになるというの。
何、ドキ胸きゅんぼっきゅん、って。
言うたことないしこれから先も絶対言わんわ。でもちょっと使いたいわ。
この怪電波ソング重ピンクこはっピンクが歌うんだから電波度200%です。


さて、歌詞といえば、かねてよりバラエティ豊かな世界観の曲が割り振られることが多い、Berryz工房様はどうでしょうか。
まずは絶対に外せないこちら。


ソドソド
好きなんだ好きなんだっけ
好きか聞かせて Do you love me?
言わないんだ言ってくんないんだ
言って欲しいなぁ
ソラシド
(Berryz工房 ギャグ100回分愛してください )
のーにゅ?のーにゅーーー?!のくだり、お野菜をモリモリ食べてカッコ良く愛してね、のくだりも捨てがたいのですが、今回は1コーラス目のAメロをエントリーさせてみました。

全く脈絡なくソドソド♪と歌い始め、Aメロ最終フェーズを終わろうとした瞬間、突然入ってくる「ソラシド」。
人を食ったような、という形容がぴったり過ぎてどうしましょう。

さらに。


うわさじゃ彼女がデキタトカ
そんなのまったくキキタクナイ
張り裂けそうなくらい頭がナナメ
(Berryz工房 胸騒ぎスカーレット)
御機嫌ななめ、ではなく、頭がナナメ。

お昼休みはウキウキウォッチング、で始まる、あの国民的昼休みソングのAメロ(晩年は歌われなくなってたね、そういえば!)では
「how Do you Do?御機嫌いかが?御機嫌ナナメは真っ直ぐにセイカモン(←ここ尺に収めるためにめっちゃ早口)!!」
って言ってたけど、さすがに御機嫌がナナメなだけやね。頭やないね。

次いでこちら。


思い立ったら吉でっせ
ピュアなハートで行きまっせ
膳なら急ぐたちでっせ
考えすぎは野暮でっせ
(Berryz工房  思い立ったら吉でっせ)

こんなでっせでっせ言う女子(しかもピュアな気持ち所持)おります?平成の世に?
桂文枝師匠ぐらいのもんと違います?
そんくらい壮大な愛なのよ、と言われましてもねぇ。どんくらいよと返すこともままなりません。でっせでっせ。


ではBerryz工房様に別れを告げて、他のグループ戻りましょう。


ハロプロ研修生からは、言わずと知れたこの怪曲。


へそんとこ、よろしく!
おへその国からこんにちは
おへその国からこんにちは
(ハロプロ研修生 おへその国からこんにちは)
おへその国=子宮=この世に生まれ出る前の世界
という解釈で、まだデビュー前の研修生にイメージをかぶせてる、といったご指摘もどっかで読んだことがあります。
なるほど!と思いました。
しかし、へそんとこヨロシク!はいかがなものでしょうか。


シャッフルユニットからはこちら。

ピラッポッポッポ ポラッピッパッポ
切なくて
パラッピッポッポ ポラッピッパッポ
苦しくて
(プッチモニV ピラッ!乙女の願い)
ねえ、あんたほんとに苦しい?

保健室に来た生徒が「ピラッポッポって感じで胸が切なくて、その苦しさたるやポラッピッパッポっていう感じです」等と病状を訴えたなら即追い出すけどね。
仮病のセンが濃厚。


意味不明擬音語シリーズとしては、こちらも外せません。

ララララのピピピピ
ララララのピピピピ
ララララのピピピピ
可愛い子はピピピピ
(道重さゆみ ラララのピピピ)
さゆだから!
さゆだから許してるんだからね!
可愛い子はピピピピってなんだよ!!注意か!笛の音か!ファールか!ファールなのか!!


はぁはぁ、もうなんなんじゃ、こりゃーーー!!
楽しすぎるぞつんく歌詞!!さすがつんくボーイ!!大好き!ありがとう!!



で、面白い歌詞というよりは、「ほほう、ここにこれを!フム!」というような、1本取られた系の驚きの歌詞も多くあります。

そちらも少しですが一緒にご覧下さい。

まずは韻系から。
 

WANT YOU 来い!と言っちゃうぅ シュート
じらされるバイオレーション
しょっちゅう脳に舞っちゃう躊躇
抱きしめて 彼方
(Berryz工房 なんちゅう恋をやってるぅYou know)

ダッシュ滑走 名古屋castle 
真白な渡り鳥
世界同じ笑顔の価値 Oh yes, All right
happy morning
(恋は発想 Do the hustle!)

どっちもすごいよね。ピッタリと音にハマってて、歌ったときに気持ちいい。
うーん、つんくすごい。
 

次はミスマッチなのが逆にすごいマッチングな例。
帰りにうどん食べてくわ
明日が待ってるもん
(℃-ute Danceでバコーン!)
 
うどん!一気に現実感出る!
地に足つけて、腰入れて、明日も頑張ろう!的な「精神的ガニ股感」100%!


君が作った二段重ねお弁当
唐揚げだけのおかずが 眩しすぎるぜ
(Berryz工房 シャイニングパワー)
ものすごくカッコいいディスコ調の曲なのに、歌われてるのは延々唐揚げ弁当(笑)
いやいや、こういうのがいいの!すごくいいの!



1億3千万 総ダイエット王国
食べたあとは走っとこう 食べるために走っとこう
健康のため走っとこう 走った分だけ食べとこう
生きてる意味が知りたい 愛する意味が知りたい
私の本当の意味を知りたい
優しい人になりたい この世のためになりたい
お願い お願い お願い…
(Berryz工房 1億3千万総ダイエット王国)

卑近から永遠へ、人類愛から今日の晩御飯へ。
この視点の移り変わりの振り幅と測度が、つんく歌詞の真骨頂。このダイナミズムが好き!中毒!


青春小僧が今日も泣いている
これが最後って今日も泣いている
Ahクラっと来ちゃって青春だね
     クラっと来ちゃって青春だね
Yo 誰ぞ
(モーニング娘。'15 青春小僧が泣いている)
歌詞とリズムが渾然一体となった、まさにつんくならではのすごい曲。
クラっと来ちゃって青春だね、ってなんなんだ。
なんなんだよー!と思うのに、口をついてこの歌詞が出ると、あまりに詞と曲がピッタリはまってて気持ちよくて、つい何度も歌っちゃう。
たとえ同じ意味でも、「Ah くらーりクラクラ青春ね」では、リズムもへったくれもないもんね。


凍てつく乙女心は
今日もネットで買い物をした
試合の予定ない勝負服
さらに凍りつく明細書がくる
(モーニング娘。 気まぐれプリンセス
これ最初聞いた時、耳からウロコでした!
試合の予定ない勝負服!この響き!




こうやってまとめてみると、つんく曲が私の中にいかにたくさん爪痕をのこしているかということがよくわかるなあー。

一見「ああん?!」となるような歌詞でも、もうそれじゃないと満足できなくなるというか…

つんくさんが体調を崩されてから非つんく曲が増えてきて、最初は新鮮でよかったけど、このままでは大事な大事なベースが変わってしまうんじゃないかという怖さが、どんどん出てくるね。


つんく曲と非つんく曲の一番の違いは、多分、リズム感。
上手な説明はできんけど、さっきの「青春小僧」みたいに、歌った時の詞とメロディの一体感が全然違う。

思い立ったら吉でっせ、とかも「こんなでっせでっせ言うー?」って確かに突っ込んだけど、
これ「でっせ」だからこそリズムが生まれてるわけで。「吉ですね」ではベターっとしちゃってあのリズムが出ない。

ピラッポッポ…のあれも、あれだからこそのグルーブ感であるわけで。

だから、つんくは珍奇な歌詞を取ってつけたように書いてるわけでは決してなくて、曲のリズムを活かすためのピッタリくる言葉を選んで当てはめてる、っていうことなんじゃないかしら?


だから、色っぽいビスケット、で正解なんですよ。
色っぽいおせんべい、では全然ダメなのよ。

ドキ胸きゅんぼっきゅん、が正解で、胸がドキドキ〜、では大ハズレなのよ。


歌詞の世界観とか日本語としての常識よりも前に(先に)曲のリズムをいかに活かすか、っていう意識があるんだろうね。

だから、必然的に聞いたことのない言葉の並びになってしまう確率が上がる、と。


歌詞もリズムの一部なんだなあー。

つんくはすごいなあー…


ほんとにすごい人って、すごいことを当たり前のようにやってのけてしまうから、一週回って凡人には「このくらいならプロならできて普通なんじゃないの?知らんけど」的に思えてしまう時がある。


でも、ちょっとでもかじったことがある分野なら、それがどれだけ神業なのかがすぐわかる、ってことあるじゃないですか。

私は作詞も作曲もズブの素人で何の素養もないけど、これだけの長きに渡ってつんく曲の贅沢な薫陶を受けてきたから、やっぱりつんく曲はひと味もふた味も違うことがわかるし、その点こそが私がハロプロを愛してる理由にもなりえたんだなぁと、改めて思う。


だから今、つんくがプロデューサーを卒業して、一作家としての楽曲提供にとどまり。
さゆが抜けベリがいなくなり、鞘師ちゃんもいなくなったら。
私の好きだったハロプロのままであり続けるのかが、すごく心配。
私はハロプロを好きでい続けられるのか、すごく不安。


そういう意味では、今年はほんとに一大転換点となる1年だったんだな、と思います。


つんくの代わりはいやしない…いやしないよ…