私は思った以上に鞘師里保が好きだったようです
2015/10/30(金)
鞘師ちゃん、卒業ですね...
ほんとうにお疲れ様でした。今まで娘。を支えてくれてありがとう。
私はモーニング娘。のファンになってからもう8年くらい経ちます。
推しメンはいつも卒業によって変わってきました。
最初はえりりん。そのあとはさゆ、そして鞘師ちゃん。
鞘師ちゃんは12歳でモーニング娘。9期メンバーとして入ってきたんですよね。
4年ぶりの新メンバー増員、その中でも群を抜いて期待されてたのが鞘師ちゃんでした。
前年の娘。の舞台「ファッショナブル」のオーディションに鞘師ちゃんが合格してて、娘。オーデの前にもう既に共演してたというのもあって、9期オーデは鞘師ちゃんを囲い込むために実施したのではという説すらあったほど。
広島アクターズスクールで「ダンスの天才」の名を欲しいままにした鞘師ちゃんだからか、娘。加入のあともいきなりセンター格の扱いでしたね。
YouTubeにあるかしら。
あったあった。これです。
この曲を生で見た時、ほんとに目の玉が飛び出ました。
つい一週間前まで小学校に通ってた子が、あの愛ちゃんガキさんと対等に渡り合ってお客さんを魅了している...!!
そしてあの体のキレ。
キレだけじゃなく、タメ。
こりゃものすごい子が入ったぞと。
オラわくわくすっぞと。
とにかくものすごく衝撃を受け、ものすごく興奮したことを覚えています。
私はダンスのことなんか門外漢で全然わかりませんが、四、五年ずっとハローのライブDVDやPVをコンスタントに見てきたから、そのダンスがハローの他のメンバーと似てるか違うかはちょっとわかる。
ちょっとだけ。
鞘師ちゃんのダンスはなんというか、こう、四つの音にポンポンポンポン、と四つの振り付けがあったとしたら、1個のポンと次のポンの間をギリギリまでなくして、1個の動きをその音の尺の最大限まで取る感じ。
なんなら、髪の毛の戻り等の残像まで計算して、次のポンに被せてくるくらいに、タメた動きがすごく特徴的で。
しかもバネがすごくて、次の動きに即移れるから、決してリズムに遅れるわけではなく。
ただ単にリズムに合わせて踊る、というのではなく、こうなんというか、グルーブ?的な感じをすごく受けます(うーん、うまく言えない)。
最近たまたま見た動画で、違いがよく解るものがあったので、それも貼ってみます。
最初のカットで、一番奥にいるエメラルドグリーンのパンツを履いてるのが鞘師ちゃんです。
次のカットで一番手前に来ます。
私が言いたいことがうまく伝わるかわかりませんが、鞘師ちゃん独特の振り付けのテンポが、ほかの人と比べることでちょっとわかりやすいように見えるので...
髪の毛の残像のタイムまで計算されてるように見えませんか。
見えませんか。
さあどうぞ。
っていうか、開始34秒のあの動きはなんなんだ。人間か。
まあそんな鞘師ちゃんですが、世間では(ハロヲタ界隈〜ドルヲタ界隈では)、「自信なき天才」と言われたりしていました。
加入当時こそ、子供ならではの無邪気さと無自覚さで(だって12歳よ...12歳)天真爛漫にはしゃぎ回り、得意のダンスをこれでもかと楽しく踊ってくれていました。
というか、鞘師ちゃんの娘。でのお仕事は、それだった(語弊はあるけど)。
それが、愛ちゃんが卒業し、ガキさんが卒業したことで、ダンスで娘。を引っ張っていける存在が、早くも鞘師ちゃんだけになってしまったんですね。
れいなは歌のうまさとアイドル性は抜群だったけど、ダンスはそんなでもなかった。
さゆは「顔で踊ってる」といわれるくらい表情の作り方はべらぼうにうまかったけど、線が細くてダンスはどっちかというとむしろ苦手だったようです。
そして、この頃の娘。は、5期(愛ガキ)・6期(さゆれな)の下が、もう9期になってた変則構成だったのです。
7期の小春、8期の愛佳・ジュンリンが既にもういなくなってたから。
だから、鞘師ちゃんは加入1年ほどで、つまり13歳やそこらで、娘。という大きなグループのセンターに立つことになった。
このことが、鞘師ちゃんの本来持っていたはずの天真爛漫さや自由闊達さに、少しずつ少しずつ、影を落としていったような気がします。
私はつねづね、モーニング娘。というのは甲子園の伝統校のようなものだと思っていました。
今の3年生(愛ちゃんガキさん)が1年生だったころには、全国優勝の常連でした。
しかし最近は、他の学校もつんく♂学園(仮)の手法を取り入れてどんどん力をつけてきているので、なかなか全国優勝まではいけていません。
そんな中、3年生の引退の日は必ず来ます。
エースで4番でキャプテンの愛ちゃん、名キャッチャーで頼れる副主将のガキさんは近い将来絶対にいなくなります。
2年生のさゆちゃん、れいなちゃんは、野球は大好きだけど実はそんなには上手くない。
ピッチャーは、絶対無理。キャッチャーならなんとか...。テレビ取材では無双級なんですが。
さあ、誰がピッチャーをするのか。
悲願の王座奪回に向け、ここは絶対にすごい奴を据えなければ。
と、ここでつんく♂監督が言いました。
「こないだ部活見学に来てた小6の子な、ちょっとやらしてみたらな、まーあすごい才能やってん!打ってよし、投げてよし、器量よしや!うん、あいつしかおらへん!ええかええかえか、えかええか、これからはあいつをうちのエースにするからな!!」
そしてそのエースで4番の新人は、リトルリーグで培った抜群の素養をいかんなく発揮し、公式戦初登板から、必殺魔球「Moon Light Night」を投げ込んで、往年のファンの度肝を抜いたのです。
だれが、12歳で甲子園のマウンドに立てますか。
だれが、そんな責任を負いたいと思いますか。
才能、実力、度胸、すべてが揃っていないと、いや、揃っていたって大多数の人は怖くて立つことが出来ない舞台のど真ん中で、及第点どころか目の肥えたファンを魅了するというのは、これが離れ業でなくて何なのか。
(私なんか、中学3年の定期演奏会でたかだか10秒もないほどのソロを、たった300人やそこらの人の前で吹くだけで、死にそうに緊張したというのに!いや、私と比べたって仕方ないけど!話もどすね!!)
そして、新エースの華々しいデビューに気を良くしたつんく♂監督、「よっしゃ、これからはこいつの時代やー!」とばかりに、来る日も来る日もマウンドに立たせ、打席に送りました。
そのうち、3年生は抜け、2年生も卒業します。
やっと中学生になったばかりのエースは、高校野球という世界の中で、いつしか孤高のエースと呼ばれるようになっていました...
的なね。
上手な世代交代を進めること、まだやれるうちに次のタマを育てておくこと。
プラチナ期が大好きな私ですが、今になって考えれば、プラチナ期の一番の罪は上記の2点ができていなかったことなのかもしれません。
15歳になり、16歳になり、どんどん後輩が入ってくる中、もともと真面目すぎる、不器用すぎる面のある鞘師ちゃんが「自分の役割」に対してストイックになりすぎたというのもあるかもしれません。
今年の夏には、体調不良で1ヶ月ほどお休みをしています。
プロ意識の高さで他メンのヲタにも一目置かれていた鞘師ちゃんが握手会やコンサートを休むなんて!!と、鞘師ちゃんファンは不安を隠しきれませんでした。
復帰した直後のラジオでは、本人の口から「起き上がれなかったんです。というか、起き上がりたいと思えなくなった。事務所の方から、少し休めと言われました」と報告があったとか。
そして、最近は鞘師ちゃんが「ちょっと太った?」といわれることが多くなりました。
ぼっち状態をイジられることも、ごく普通のことになっていました。
たった17歳で、世間という「姿の見えないモンスター」と必死に戦い、ダンスを武器に、いや、盾にしてセンターに立ち続け、後輩を背中で引っ張ってきた鞘師ちゃん。
鞘師ちゃんは、卒コンもなく、卒業シングルもなく、単独コンサートではないカウントダウンライブをもって、モーニング娘。を卒業するそうです。
まる5年、エースとして支えてくれた功労者に贈る花道としては、あまりにもさみしすぎる。
でも、もしかしたら、もう花道を歩くことさえできないのかもしれないな、と思います。
来年のカレンダーには鞘師ちゃんがどセンターで映っています。
八月のインタビューでは「(卒業は)20歳は超えたいなって思ってます」と答えていました。
同期である9期メンバーも、ごく最近卒業を聞かされたそうです。
だから、この卒業は、少なくとも既定路線ではなかったのではないかな。
ということは、鞘師ちゃんは、限界なのかもしれません。
起きれない、太った、意欲がわかない...という状態は鬱病の症状に似てるから心配、と書くファンの人も一定数いました。
そうではないことを祈りたい。
卒業発表のブログの中では「今後の人生」っていう言葉が出てきました。
まだ17歳なのに...。
でも、17歳だからこそ、これからの人生は自分のためだけに生きていけるはず!
広島から上京して、未だに家族と並んで脚をのっけて寝ないと上手に眠れない、不器用な鞘師ちゃん。
責任感や使命感に完全に押しつぶされる前に、最後の勇気を振り絞って「卒業」という道を選んだとするなら。
たとえ卒コンがなくたって、卒業シングルがなくたって、駆け足で急ぐように見えたって、立派な卒業だったと言ってあげたい!
私は今の職業、辞めたいって思うことも増えてきたけど、まだまだまだ本気で辞める決心なんかつかないもの。
応援してくれてる人が本当にたくさんたくさんいることを、コンサートや握手会なんかを通して十分に自覚がある中、辞めるっていう決心は決して簡単にできるものじゃないと思う。
鞘師ちゃんの決断を、私は支持します!!
ハロメンで唯一、苗字でコールされる鞘師ちゃんが好きでした。
不器用で、自分の役割に必死になって向き合う鞘師ちゃんが好きでした。
ツルツルの赤ちゃんみたいな顔を汗でグッショグショにしながら、曲終わりのカメラにドヤ顔をカチ込む鞘師ちゃんが好きでした。
5年前、モーニング娘。に来てくれてありがとう!
5年間、モーニング娘。を救い続けてくれてありがとう!
今、自分の人生を大事にしてくれてありがとう!
鞘師ちゃんのこれからの人生が素晴らしいものになりますように。
そしてできれば、ときたま、その姿を私たちにも見せてくれますように。
卒業の日まで、全力で楽しんでください!
鞘師里保のことが、自分で思う以上に好きだったことに気づいた、もちよより。